【リワーク】熱中できるもの

こんにちは。
 
リワークプログラムも86期復職トライアルも3週が経過し、次週が最終週となります。今週は、新講座「フリー・プラクティス」もはじまり、皆さんが主体的に個人作業やグループワーク、モノづくりなどの課題設定をして取り組むことで、それぞれに有意義な時間を過ごすことができたのではないでしょうか。今後もいろいろな提案をしてもらえたらと思います。
 
さて、今週もいろいろなことがありましたが、やはり「イチロー選手の引退」が大きな出来事でした。
 
試合後のインタビューも穏やかさだけでなく、真摯さやピリッと緊張が走る瞬間もあり、イチロー選手らしさがあふれる空間になっていました。きっといつも以上に大きな感情が動いていたインタビューだったはずなのに、いつも通りな空気感をつくりだすことはすごいなと感じました。
 
そんなインタビューからいくつか印象に残った言葉を紹介します。
 
「野球のことを愛したことだと思います。これは変わることはなかったですね」
 
これまで貫いてきたことは?という問いに対しての言葉です。こだわりの強さ、意志の強さが感じられる言葉としてズシッときました。恐いくらいに。それだけの力を注いできたからこそ言える言葉なのだと思います。好きをあきらめないこと、裏切らないこと、こだわることというか、、、、そういうものが積もり積もって【愛した】ということになるのかもしれません。
 
好きだけでは語りえない、もう一歩も二歩も踏み込んだ先にある何かを感じたからこその言葉かなと。だからといって、イチロー選手しか体験できないことではないことが大切だと思います。どこまで貫き通せるかは人それぞれですが、何かを好きになること、熱中すること、没頭することは、誰でも体験することができることです。まだ、体験したことがない場合は、これから先にある新しい体験として考えることができます。
 
そのような思いは、子どもたちへのメッセージの中にもありました。
 
「自分が熱中できるもの、夢中になれるものを見つければそれに向かってエネルギーを注げるので、そういうものを早く見つけてほしいと思います。それが見つかれば、自分の前に立ちはだかる壁にも、壁に向かっていくことができると思うんです。それが見つけられないと、壁が出てくるとあきらめてしまう…」
 
子どもたちへのメッセージは苦手だといいながらも、真摯な言葉を紡ぎだす姿は人を裏切らないこころ、言葉だけでは言いあらわせない信頼感のようなものをみせてくれた気がしました。子どもに何かを伝えるのは難しいことです。本気の言葉でしか伝わらない、ましては裏切れない。だからこそ言葉だけでなく、行動でみせることの大切さがある。そして、その行動を継続することで伝えられるものがあるのだということを教えてくれた気がします。
 
自分の熱中できるものをみつけること
 
誰かに「やらされる」のではなく、自分から「やりたい」となること。やることに意味があるのか?将来の役に立つのか?という言葉にとらわれずに、やりたいことに没入できるこころを育む安心感のある場所をつくることができているか。思いを行動につなげる環境をつくっていくことも大切です。小さな頃には、落ちている石を収集したり、セミの抜け殻をあつめたり、理不尽なゲームを繰り返しプレイしたり、、、、いま思えば、なぜそんなことに熱中していたのか?ということに夢中になっていたことがあったかもしれません。
 
そんな「子どもごころ」を大人になる過程で、どこかに置き忘れてしまったのかもしれません。いつのまにか、周りの環境や大人たちの言葉などによって、「そんなこと」になってしまったのかもしれません。「そんなこと」しているなら〇〇しなさい...というような形で、抑圧されたり、修正されてしまったのかもしれません。
 
もう一度、何かに熱中する、夢中になることをやってみよう
 
仕事に役立つかどうかではなく、やりたいことをやってみる。やりたいことがわからない方は、これから見つけるチャンスがあるわけです。ワクワクしながら探しましょう。まだ、体験したことない何かをみつけられるかもしれないのですから。
 
リワーク、復帰することは、仕事に戻ることではありません。もう一度、人生をつくっていくことにチャレンジしていくことです。変化すること、変化を受け入れることには不安がつきものですが、新しい人生をつくっていく中に、自分が熱中できるもの、夢中になれるものがあったら、霞んでしまっていた世界に色が増えていくかもしれません。新しい体験が増えていくかもしれません。仲間となら一歩踏み出せるかもしれません。もう一度、チャレンジしてみましょう。

 

まだまだたくさんの言葉がありました。すべての言葉に意志があり、伝えたいことがありでキリがないです(笑)ということで、ここまでにします。インタビューの全文が文字に起こされていますので、会見をみていない方はチェックしてみてください。
 
イチロー選手の引退という大きな節目をきっかけに「熱中できるもの」について再考してみましょう。

 

また来週です。

 

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うつ病・不安障害などで、休職中・退職された方を対象にリワークプログラムを行っています。メンバーで支えあいながら、「主体性」「楽しむ力」を養うこと、取り戻すことをテーマに活動しています。参加をご希望の方は、診察の際に主治医にご相談ください。