心理士推薦図書 Part1

当院で従事している心理士のお勧めする本を、順次リレー式で御案内いたします。
それぞれの個性が窺えて興味深いものとなっています。御期待下さい。
院長

第1回 お勧めの一冊
「3月のライオン」

少しずつ過ごしやすい季節になってきましたね。「読書の秋」秋の夜長に読書を楽しんでみませんか?第1回お勧めの本は、マンガからの一冊。いつもは、マンガを読まれない方も、少し違った角度で物事を楽しむきっかけになるかもしれません。

競争社会である将棋の世界をテーマとした作品です。17歳でプロ棋士となった少年とその周りの家族やライバル、様々な人間が、”何か”を取り戻していく優しい物語です。
この作品は、何かが「好き」なだけでは、成り立たない現実をみせてきます。大人になるとは、そういうことなのかもしれません。働くこと、生活すること、生きること、しなければならないことが多すぎるのかもしれませんね。では、何かを「好き」になるという気持ちはどうなるのでしょうか?

この作品は、主人公だけでなく、すべての登場人物にドラマがあります。それぞれの人物が、それぞれの現実に向き合うことで、何かを「好き」になるとはどういうことかを深く考えさせてくれます。それは「何のために働くか」「何のために生きるのか」ということにつながっているような気がします。

主人公だけでなく、登場する誰かに自分を映したり、もしかしたら無意識のうちに自分が映っていたりするかもしれません。そんなことを思いながら読んでみることも、おもしろいかもしれません。

臨床心理士 亀井 宗